メールマガジン　第156号 　

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＜メールマガジンSignalNow＞　2018年4月27日・第156号
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（１）２分で読める防災コラム　第102回
「スロースリップ」について
（２）予知できぬ地震、南海トラフどう対応
（３）津波 予測に新たな一手 上空の電離圏ホール活用

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（１）２分で読める防災コラム　第102回
「スロースリップ」について
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前号は「南海トラフ地震」に備える政府の対応、気象庁の定例検討会
での発表内容をご紹介しました。
今号も「南海トラフ地震」に関連したトピックの１つとして、「スロ
ースリップ」についてです。

１．スロースリップとは

「スロースリップ」は、地下のプレートの境界付近の断層が、ゆっく
りとずれ動く現象のことで、南海トラフ地震の想定震源域では、海洋
プレートの沈み込み地帯で繰り返し起きている現象です。

通常の地震では、断層が高速（1秒間に約1m）にすべり、地震波を放
射します。
それに対して、スロースリップは、もっと長い時間をかけて、地震波
を放射せずにゆっくりとすべり、歪みエネルギーが解放されない特異
な現象です。

2000年代初頭に、日本での稠密な観測網によって検出されるようにな
りました。
その後は、日本だけでなく、世界中のプレート境界においても、スロ
ースリップの検出が行われるようになりました。

スロースリップは、ひずみ計、傾斜計、GNSS観測などで検出すること
ができます。
また、水準測量のデータなどから、過去のスロースリップイベントを
見つける試みも始まっています。

スロースリップはさらに、「短期的スロースリップ」と「長期的スロ
ースリップ」に分けられます。

２．短期的と長期的のスロースリップについて

Ａ．短期的スロースリップ
およそ数日間かけて、プレート境界がゆっくりすべる現象で、東海地
方や四国地方では、数か月に１回の頻度で発生していることが知られ
ています。

Ｂ．長期的スロースリップ
数か月から数年かけて、さらにゆっくりとすべっていく現象を言い、
東海地方や四国地方では、過去に繰り返し発生していたと推定されて
います。

また、短期的スロースリップや長期的スロースリップが発生している
時には、「深部低周波地震」活動が活発になると言われています。

３．スロースリップと地震の関係性について

地震波を放射せずに、歪みエネルギーを解放しないまま、ゆっくりと
すべりが続く「スロースリップ」は、より大きなエネルギーが蓄積さ
れるため、巨大地震につながりやすいとされます。

地震動の継続時間が非常に長いため、周期が長めとなる「低周波地震」
となる特徴があります。

スロースリップは、海溝などの沈み込み帯でよく見られ、大きな津波
を発生させる津波地震も、その1つと考えられています。

最新の研究成果としては、4月9日に、東京工業大学 理学院 地球惑
星科学系の中島淳一教授と東北大学 大学院理学研究科の内田直希准
教授による論文が、英国科学誌「Nature Geoscienceオンライン版」
に掲載されました。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2018/04/press20180410-slowslip.html

論文によると、茨城県南西部のフィリピン海プレートの上部境界周辺
で発生する地震の波形を解析したところ、プレート境界で約1年周期
で発生する「スロースリップ」に伴って、プレート境界の水が、浅部
に排出されていることを明らかにしたとのことです。

これは、スロースリップによってプレート境界の水が移動することを
示す初めての観測成果であり、プレート境界地震の発生予測の高度化
に向けた極めて重要な成果とされています。

＊プレート境界地震とは：大陸プレートとその下に沈み込む海洋プレ
ートの境界で発生する地震のこと。沈み込むプレートに引きずられて
生じた、歪みエネルギーを解消する際に、巨大地震を伴うとされる。
1923年関東地震や2011年東北地方太平洋沖地震も、プレート境界地
震。

これまでは、プレート境界地震を発生予測する際に、スロースリップ
による応力変化の影響だけが評価されてきましたが、この最新研究に
よって、プレート境界の水の排出も考慮する必要があることが明らか
となりました。

[出典]
地震調査研究推進本部サイト、気象庁サイト、防災科学技術研究所サ
イト、東京大学地震研究所サイト、東北大学サイト（大学院理学研究
科）ほか

さまざまな研究により、南海トラフを始めとする巨大地震に対する備
え、防災・減災につながるような解明が進むと良いですね。

次号もお楽しみに！

by Hirono

 

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（２）予知できぬ地震、南海トラフどう対応
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マグニチュード(M)９クラスの南海トラフ巨大地震を巡り、政府の中央
防災会議の作業部会は4月12日、発生可能性が高まった際の住民避難や
企業活動のあり方などについて議論を始めました。

予知が困難となり、発生が確実ではない段階での臨時情報の発信へと対
応を見直す中、自治体や企業にどこまで具体的な方向性を示せるかが焦
点となります。

日本経済新聞 18.4.12
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29291200S8A410C1CR0000/

 

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（３）津波 予測に新たな一手　上空の電離圏ホール活用
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津波発生地点の上空約300キロにできる「電離圏ホール」と全地球測位
システム（GPS）の電波を利用し、津波の規模や到達時間を予測するシ
ステムを東京学芸大の鴨川仁准教授らが開発しました。

津波の全体像を把握しやすく、地震計や津波計の観測と合わせること
でさらに正確な予測が期待できます。

毎日新聞 18.4.20
https://mainichi.jp/articles/20180420/k00/00e/040/264000c

 

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第１位　4月9日 島根県西部で震度5強の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1876592635706744/
第２位　南海トラフ巨大地震 東側発生なら四国 近畿 九州７県応援出さず
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1892724197426921/
第３位　4月14日 愛知県西部で震度4の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1882306161802058/

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