メールマガジン 第159号
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<メールマガジンSignalNow> 2018年6月11日・第159号
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(1)2分で読める防災コラム 第105回
「地震発生過程の最新研究」について
(2)首都圏「大地震で大津波が来る駅」ランキング
(3)富士山噴火で首都圏まひ? 内閣府、大規模降灰対策を本格検討へ
(4)切迫している千島海溝の超巨大地震と津波の発生
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(1)2分で読める防災コラム 第105回
「地震発生過程の最新研究」について
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前号まで「南海トラフ」や「首都圏直下型」などの「巨大地震」の発
生原因となる「スロースリップ」、「低周波地震」及び「お付き合い
断層」について取り上げました。
今号は、これらの知識をもとに、「地震の動的破壊の発生」や「伝播
の物理過程の理解」の最新研究成果をご紹介しながら、より理解を深
めていきたいと思います。
1.「地震」発生過程の最新研究について
「地震」とは「断層の破壊現象」なので、断層破壊の物理過程を解明
してモデル化できれば、「地震の発生過程のモデル化」が行えること
になります。
断層は、通常は「摩擦」によって固着していますが、プレート相対運
動などによって、「断層をずらす力」が働き、このパワーが「摩擦力
に打ち勝つ」と、断層が破壊して地震が発生します。
つまり、地震の発生過程の根源には、この「岩石の摩擦」を理解する
ことが重要です。
現在「岩石の摩擦実験」などに基づいて、「摩擦構成則」と呼ばれる
「摩擦」を、すべり速度などの関数で表す式が提案されています。
この「摩擦構成則」を利用すれば、地震発生を「数値シミュレーショ
ン化」できます。
このシミュレーションでは、地震の発生だけでなく、地震が発生する
までの「応力集中」過程や「地震が発生した後の断層の強度回復」過
程など、地震が発生するサイクル全体をモデル化することができます。
プレート境界には「摩擦力」が働いていますが、温度などの影響で、
深度によって「摩擦の性質」が異なり、「浅いところ」ではプレート
境界が固着し、「深いところ」ではプレート境界がゆっくりとすべっ
ています。
プレート境界での「すべり方の違い」の結果、固着している領域とす
べっている領域の境界では、「応力集中(*)」が生じます。
「応力集中」が大きくなると、固着していたプレート境界の浅部が破
壊して地震が発生します。
*応力集中
「応力」が均一な状態から、ある特定の部位に、増大していく現象を
言います。
破壊の発生を決めるのは、歪エネルギー(エネルギー解放率)と断層
の強さを表す破壊エネルギー(単位面積の破壊面を作るのに必要なエ
ネルギー)という量の関係によります。
プレート境界の深部は、いつもすべっているので、「応力集中」は
徐々に大きくなり、エネルギー解放率は時間とともに増大していきま
す。
大地震における「破壊開始点」の破壊エネルギーは、地震の規模に依
存して大きくなりますが、「断層全体の平均的な破壊エネルギー」よ
りも小さくなる傾向があります。
これはつまり、地震の動的破壊の発生地点から、破壊エネルギーが伝
播していく過程で、物理的な破壊が広がっていくことを意味します。
2.破壊エネルギーの伝播について
前号までの記事のとおり、防災科学技術研究所(NIED)の「Hi-net」
等の稠密な基盤的地震観測網の整備によって、「深部低周波微動」
「短期的スロースリップ」イベント等といった「スロー地震」現象の
発生が明らかにされました。
このような「スロー地震」は、巨大地震発生領域に隣接することから、
巨大地震発生のトリガーとなる可能性があるだけでなく、巨大地震の
連動性を解明する手がかりともなります。
これらの現象の活動範囲や移動の性質によって、フィリピン海プレー
トのいくつかのセグメントでは、それぞれ固有の周期性があり、セグ
メント内では「すべり破壊伝播」が観測され、時には隣接セグメント
への連動破壊を引き起こすことも観測されています。
これまでは、プレート境界断層浅部は「地震性すべり」を引き起こさ
ない領域と考えられてきましたが、この「すべり破壊伝播」によって、
浅部でも「すべり」が発生し、巨大津波発生の原因となるわけです。
これが「東北地方太平洋沖地震」の(10mを超える)巨大津波を発生
させる原因ともなりました。
プレート境界における「深部の震源」から始まった「断層の破壊」が、
浅部に伝播していく過程で、断層の摩擦発熱によって膨張した間隙水
(プレート境界断層物質の隙間にある水)が、それまで固着していた
「浅部の岩石」に挟まれて逃げ場を失い、間隙水圧を上昇させて断層
を滑りやすくさせたと考えられます。
こうして、断層の浅部で流体圧が急激に増加して、すべり摩擦力が急
速かつ急激に低下した結果、浅部で大きなすべりが引き起こされると
いうわけです。
出典:東京大学地震研究所、独立行政法人防災科学技術研究所、海洋
研究開発機構
このように、最新の研究成果によって、これまでわからなかった「巨
大地震発生メカニズム」が解明されていき、今後の「減災・防災対策」
がより充実していくことが期待されますね。
次号もお楽しみに!
by Hirono
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(2)首都圏「大地震で大津波が来る駅」ランキング
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巨大地震の際、津波に襲われる鉄道路線、駅が数多く想定されています。
その時、どの駅にどのくらいの高さの津波が押し寄せ、鉄道はどう対応
するのか。
JR東海は東海道本線、紀勢本線などの55駅に対し南海トラフ巨大地震
での津波到達を想定しています。
またJR西日本では紀勢本線など、JR四国では土讃線や牟岐線など、JR
九州では日豊本線、日南線など、JR北海道では函館本線、室蘭本線、根
室本線などで津波の危険があるとされています。
一方、首都圏では津波への認知度が低いため、今回は注意喚起の意味も
含め、人口の多い首都圏、すなわち東京都、神奈川県、千葉県の海沿い
の鉄道を対象に述べてみます。
東洋経済 18.5.31
https://toyokeizai.net/articles/-/222714
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(3)富士山噴火で首都圏まひ? 内閣府、大規模降灰対策を本格検討へ
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駅も道路もビルの屋上も見渡す限り灰色の世界…。
富士山が噴火し、首都圏に火山灰が降り注いだ場合、東京の都市機能は
どうなってしまうのでしょうか。
そんな不安に応えるべく、富士山噴火時の降灰対策について政府が年内
にも初めての本格的検討を始めます。
これまでの検討は首都圏周辺で2~10センチとの降灰量推定にとどまり、
具体策の検討が遅れていました。
近年、1月の草津白根山(群馬、長野県境)や平成26年の御嶽山(長野、
岐阜県境)など噴火が相次いでおり、対策整備が急務となっています。
産経ニュース 18.5.30
https://www.sankei.com/premium/news/180530/prm1805300007-n1.html
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(4)切迫している千島海溝の超巨大地震と津波の発生
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北海道太平洋沖の千島海溝付近では、1973年根室半島沖地震や2003年
十勝沖地震など、過去に繰り返し巨大地震が発生し、強い揺れと大きな
津波が沿岸に襲来して甚大な被害がもたらされました。
このような状況から、2017年12月に、地震調査研究推進本部・地震調
査委員会は、千島海溝沿いの地震活動の長期評価(第三版)を13年ぶり
に新たに公表し、「マグニチュード(M)8.8程度以上の非常に大きな地
震の発生する可能性が高い」と注意喚起しました。
北海道の太平洋沖では、超巨大地震のほかに、「M8程度のプレート間巨
大地震」、「巨大地震より一回り小さいM7程度のプレート間地震」、
「沈み込んだプレート内のやや浅い地震」、「沈み込んだプレート内の
やや深い地震」など、さまざまな大地震が発生しています。
プレート境界の超巨大地震やプレート内の巨大地震など、北海道の太平
洋沖では巨大な地震の発生する確率が大変高いと言えるでしょう。
特に、M9クラスの超巨大地震が過去に複数回発生している確実な証拠が
あるのは、日本でもこの地域だけです。
十分に警戒して、強い揺れと大きな津波への対策を講じておく必要があ
ります。
そなえる防災 18.5.31
http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20180501.html
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第1位 5月25日、長野県北部で震度5強の地震
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第2位 グアテマラで火山噴火 死者数十人に
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第3位 5月26日、日向灘で震度3の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1925627867469887/
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