メールマガジン　第142号 　

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＜メールマガジンSignalNow＞　2017年9月27日・第142号
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（１）２分で読める防災コラム　第88回
新発見「長周期パルス」について
（２）世界初 マントルを直接掘削
（３）東海地震 予知前提の情報取りやめへ 防災対策が転換
（４）メキシコの地震 専門家「都市の真下で発生し被害」

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（１）２分で読める防災コラム　第88回
新発見「長周期パルス」について
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今月初めに放送された『NHKスペシャル　MEGA　CRISIS　巨大危機Ⅱ
第１集「都市直下地震」』を、ご覧になりましたでしょうか。

昨年の熊本地震で、初めて国内で観測された「長周期パルス」は、こ
れまで知られてきた揺れとは、まったく異なる破壊力が秘められた揺
れであり、今号は、この新発見についてです。

番組をご覧になった方もあらためて、再確認いただければと思います。

１．「長周期パルス」とは

一般的な直下型地震では、揺れの周期が１秒から２秒程度という、短
い周期のガタガタとした小刻みな揺れが生じます。

ガタガタとした小刻みな揺れであれば、高層ビルは揺れを吸収し、被
害を受けやすいのは、主に低い建物となります。

ところが、活断層による直下型地震において、断層が地表にまで現れ
るような地震の場合は、周期が３秒ほどの長周期の揺れ、ドクンと脈
打つような大きな変位を伴って襲ってくる「長周期パルス」が発生し
ます。

この「長周期パルス」では、高い建物ほど「一撃」が大きくなり、低
い建物よりもはるかに大きな被害となります。

東日本大震災では、東京都心にある高層ビルなどで「長周期地震動」
が観測され、ゆったりと長い時間揺れ続けるという現象が、広く認識
されることとなりました。

それに対して「長周期パルス」は、巨大な揺れが１回、脈打つように
襲うというもので、これまで地震に強いとされてきた大都市の高層ビ
ルやマンション、免震構造を取り入れた建物でも、一撃で破壊される
危険性があることがわかりました。

熊本地震の時の「長周期パルス」を、東京都心にある高層ビルでシミ
ュレーションしたところ、一瞬で損壊してしまう可能性が明らかとな
りました。

これは、従来の地震対策では想定されていなかったリスクであり、そ
の後の解析によって、東京や大阪、仙台、福岡などの大都市にある活
断層でも、同じような脅威が存在する可能性があります。

２．「長周期パルス」の初観測について

熊本地震の際、西原村役場に設置された地震計が震度７を記録し、特
殊な揺れ「長周期パルス」を、国内の直下型地震で初めて観測しまし
た。

この時、西原村役場付近の地表に、約30キロにわたって断層が地表に
現れ、それが長周期パルスの発生につながったと考えられます。

地震計のデータ解析から、地震発生の10秒後に、西原村の地面が一気
に２メートルも動き、それが長周期パルスを発生させたと考えられま
す。

一方、断層が地表に現れない場合は、地面の動きが少なく、長周期パ
ルスが発生しにくく、高い建物はあまり揺れません。

３．「長周期パルス」の発生しやすい場所

「長周期パルス」が発生しやすい場所もわかってきました。

専門家の間では、マグニチュード７クラスの活断層地震が起きると、
断層が地表に現れるとされています。

国が想定している、国内でマグニチュード７クラスの大地震が発生す
る可能性がある活断層は、全国に113あります。

その中には、人口が集中する、福岡市の真下を横切る警固断層帯があ
ります。

関西から中部にかけては、大阪の中心部を貫く上町断層帯など、数多
くの活断層が複数、広範囲に存在しています。

東京では、西部の立川断層帯があり、仙台では市内を縦断する長町・
利府線断層帯と、主要都市の各地に存在します。

もし、それらの活断層が地表に断層が現れた場合、その周辺数キロの
範囲で、長周期パルスが発生する可能性があります。

４．「長周期パルス」の被害想定

新宿にある29階建て、高さ133メートルの鉄骨の高層ビルに、西原村
のデータを当てはめてシミュレーションをしたところ、地震発生から
10秒後に襲ってくる「長周期パルス」の一撃で、鉄骨の骨組み全体が
大きくゆがみました。

その揺れ幅は、最上階で最大2.7メートルにもなり、一撃で柱などが
変形し、損傷した箇所に負荷がかかり、揺れが収まってもビルは傾き、
変形したままになります。

本当に条件が悪い場合は、ビルがそのまま倒壊する可能性もゼロでは
なく、非常に危険性が高いことがわかりました。

これまでの想定を超えるのであれば、想定外ではなく、想定内にする
対策をしておくべきであると、新たな揺れ対策の研究が始まっていま
す。

例えば、高層ビルなどに設置されている免震装置は、地面の揺れを建
物に伝えないようにするしくみですが、「長周期パルス」の一撃が発
生すると、２メートル以上も動くため、建物の土台を囲む擁壁に衝突
し、建物が破壊されてしまいます。

そこで「スイッチダンパー」と呼ばれる装置を設置し、地面が45セン
チ動いた時点で、ダンパーのピンが落下してダンパーの動きを停止し、
建物の免震装置の動きにブレーキをかけ、擁壁への衝突を防ぐしくみ
が開発されています。

あるいは、まったく新しいアプローチとして、圧縮空気で建物をわず
かに浮かせ、地面の動きの影響を受けないようにするといった研究も
始まっています。

さらには、個別のビルだけを免震しても、隣同士のビルがぶつかる可
能性も出てきたため、兵庫耐震工学研究センター「E-ディフェンス」
による「街全体を宙に浮かせて、揺れを遮断する」という「フロート
シティ計画」もスタートしています。

これらの新たな取組みが、次の巨大地震発生までに、間に合うといい
ですね。
次号もお楽しみに！

by Hirono

 

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（２）世界初 マントルを直接掘削
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国立研究開発法人海洋研究開発機構は、海底下の掘削によりマントル
への到達を目指す候補地点の選定に向けて、深海調査研究船「かいれ
い」によるハワイ諸島東方沖での地殻構造調査航海を、9月17日より
実施しています。

本調査は、国際深海科学掘削計画(IODP)における掘削提案に基づくも
ので、アポロ11号が持ち帰った月の岩石に匹敵する価値を持つと言わ
れる地球内部のマントルの岩石を人類が初めて手にすることが期待さ
れています。

海洋研究開発機構 17.9.19
http://www.jamstec.go.jp/ceat/j/topics/20170919.html

Gigazine 17.4.10
http://gigazine.net/news/20170410-mantle-project/

 

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（３）東海地震 予知前提の情報取りやめへ 防災対策が転換
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国内で唯一、予知できる可能性があるとされてきた「東海地震」につ
いて、国は、予知を前提とした情報の発表を取りやめる方針を固めた
ことが、関係者への取材でわかりました。

年内にも南海トラフ全域の地震活動などを評価する情報を新たに作る
見込みで、４０年近くにわたって予知を柱の一つとして進められてき
た国の防災対策が、大きく転換されることになります。

NHKニュース 17.9.23
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20170923/k10011153001000.html

 

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（４）メキシコの地震 専門家「都市の真下で発生し被害」
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日本時間の20日午前3時すぎ、メキシコで起きたマグニチュード7.1
の地震について、地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古
村孝志教授は「今回の地震はメキシコの下に沈み込んでいる「ココス
プレート」と呼ばれる岩盤の内部で発生した地震だ。今回の震源地の
周辺は、過去たびたびマグニチュード8クラスの巨大地震が発生して
きた場所で、今回の地震はマグニチュード7.1と、一回り規模が小さ
いが、都市の真下で発生したため強い揺れに襲われ、地震に弱い建物
を中心に被害が出たと見られる。」と分析しています。

そのうえで「東京の直下にも複数のプレートが沈み込んでいるなど、
日本国内でも同じような大地震が起こりうるので、注意が必要だ。」
と話しています。

TEAM防災ジャパン 17.9.21
https://bosaijapan.jp/news/【災害想定】メキシコの地震-専門家「都市の真下/

在メキシコ日本国大使館 注意喚起（メキシコにおける地震の発生） 17.9.19
http://www.mx.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_001228.html

 

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第１位　9月8日 メキシコ沖でM8.1の大地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1653502124682464/
第２位　9月8日 秋田県内陸南部で震度5強の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1653765804656096/
第３位　バリ島で小規模地震が頻発 約50年ぶりの噴火可能性に警戒
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/1664832126882797/

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