Webマガジン 第223号
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<WebマガジンSignalNow> 2023年4月15日・第223号
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(1)「南海トラフ巨大地震」の被害想定見直しについて
(2)3月の地震活動及び火山活動について
(3)3月の地殻変動
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(1)「南海トラフ巨大地震」の被害想定見直しについて
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南海トラフ巨大地震について、政府が被害想定を2012年に公表し、この想定をもとに
2014年に「防災対策推進基本計画」が作られ、対策が進められてきました。
来年で10年となるため、政府は地震モデルや被害想定の見直しを行うこととし、今月の
4日「第1回 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ(WG)」が開催されま
した。
今号は、改めてこれまでの被害想定の確認と、今回の見直しのポイントについてです。
1.2012年の南海トラフ巨大地震の被害想定について
政府は2012年、南海トラフ沿いを震源とする巨大地震について、今後30年以内の発生確
率を70%から80%と計算し、マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震が発生
した場合の「最大震度は7」で、広範囲な太平洋岸に巨大な「10m超」の津波が押し寄せ
るという被害想定をまとめました。
公表された被害想定における最悪のケースは、死者数が32万3千人、怪我人は62万3千
人にのぼり、揺れや火災、津波などで238万棟余りの建物が全壊または焼失、避難者数も
最大950万人にのぼるという衝撃的なものでした。
<参考> 内閣府「南海トラフ巨大地震編 シミュレーション編(3分03秒)」
https://wwwc.cao.go.jp/lib_012/nankai_02.html
これらを踏まえて、2014年3月に「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を決定し、
人的被害の軽減については、今後10年間で死者数を約8割減、建物の全壊も約5割減と
いう「減災目標」を定めて計画を進めています。
2018年度に、住宅の耐震化などが進んだことで、推定死者数は約23万千人と減少したも
のの、被害想定にもとづく「防災対策推進基本計画」が決まってから9年が経過すること
から、内閣府は現在の被害想定の見直しや新たな対策の検討を行う有識者検討会を今年2
月に立ち上げています。
2019年からは「南海トラフ地震臨時情報」という新しい防災情報の運用も始まりました。
2024年に「目標としてきた10年」を迎えることから、防災対策の進捗を確認するための
フォローアップと次の目標を定めるための新たな被害想定を取りまとめるとしています。
減災計画によって、各地で防災対策が大きく進んだ一方、人口減少や高齢化が進んだり、
都市部では超高層ビルが増えていたり、10年前とは状況が変化しています。
4日の初会合では、地震や防災の専門家17人が参加して、建物の耐震化や避難施設の整
備状況、訓練などの取組み状況のほか、新たな課題や高齢化・過疎化などによる影響に
ついて議論を進めることを確認しています。
2.南海トラフ巨大地震について
改めて「南海トラフ」とは、駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐
湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝
状の地形を形成する区域のことを言います。
この南海トラフ沿いのプレート境界では、海側のプレート(フィリピン海プレート)が、
陸側のプレート(ユーラシアプレート)の下に1年あたり数cmの速度で沈み込んでいます。
その際、プレートの境界が強く固着して、陸側のプレートが地下に引きずり込まれ、ひず
みが蓄積されています。
陸側のプレートが引きずり込みに耐えられなくなって、限界に達して跳ね上がることで発
生する地震が「南海トラフ地震」です。
プレートの沈み込み、ひずみの蓄積、プレートの跳ね上がりが、概ね100年から150年間
隔で繰り返されるため、前回の南海トラフ地震が発生してから70年以上が経過し、今後
30年以内の発生確率が70%から80%と計算されています。
南海トラフ地震の過去事例を見てみると、宝永地震(1707年)のように駿河湾から四国
沖の広い領域で同時に地震が発生したり、M8クラスの大規模地震が隣接する領域で時間
差で発生したりしています。
また、隣接する領域で地震が続発した事例では、安政東海地震(1854年)の際には、そ
の32時間後に安政南海地震(1854年)が発生し、昭和東南海地震(1944年)の際には、
2年後に昭和南海地震(1946年)が発生するなど、その時間差にも幅があることが知られ
ています。
最大クラスの地震が起きた場合、東日本と西日本の24の府県という広い範囲で震度6弱
以上の揺れに襲われ、名古屋市の一部や静岡市、和歌山市、徳島市、宮崎市などでは震度
7の激しい揺れが想定されています。
また沿岸部では、最大で30mを超える巨大津波が押し寄せると推定されています。
3.今回の見直しのポイントについて
初会合WGの取りまとめ役を務める名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、今後は2つの地震
が連動しても社会を維持できる対策が大事になるとしています。
この「2つの地震」というのは「半割れ」を指していて、その対策が焦点になるとの見通
しを示しました。
地震学の関係者の間では地震が起きることを「割れる」と表現することがあり、南海トラ
フの想定震源域が一気にずれ動いた場合を「全割れ」と呼び、震源域の東側と西側が時間
を空けてずれ動く場合を「半割れ」と呼びます。
「半割れ」は歴史的にも繰り返し起きていて、江戸時代の1854年には「安政東海地震」
と「安政南海地震」が32時間差で、昭和前半の1944年には「昭和東南海地震」と1946
年の「昭和南海地震」が2年の時間差で発生しています。
2016年の熊本地震では「震度7」が2度の見舞われたことで、建物の耐震力が低下して
倒壊が相次ぐという地域がありました。
また大都市シミュレーションでは、「半割れ」の2度の激しい揺れに超高層ビルが襲われ
た場合、変形した鉄骨が揺れに耐えられずに破断するというケースもありました。
今のビルの設計の基準では「2度の激しい揺れ」は、想定されていないと指摘されています。
あるいは「半割れ」となった場合、2度目の巨大地震に備えて「他県の被災地には(行き
たくても)向かえない」という状況も想定されるとのことです。
そのような場合、最初の被災地では救助が来ないまま「孤立」する地域が出る恐れがあり
ます。
さらに被災地だけでなく、「半割れ」は各企業の工場などをストップさせて「サプライチェ
ーン(製品の供給網)」を断ち、日本経済に深刻なダメージを与えるという指摘もあります。
関東から九州にかけての「太平洋ベルト地帯」と呼ばれる工業地帯が襲われ、自動車など
の製造業や鉄鋼業の被害に加え、高速道路や新幹線といった日本の大動脈の寸断も想定さ
れると被害はより深刻です。
そうなった場合、太平洋側だけでなく、長期的な「国難レベル」の深刻な事態が日本全体
に波及する恐れがあるという指摘もあります。
こうした事態に対して、建物が2度の激しい揺れにも耐えられるような対策を施したり、
各企業が事業継続計画(BCP)に多様なシナリオを織り込んで、支社や支店網を活用した
代替策を用意してある程度事業を継続できたりすれば、間接被害の軽減につながります。
WGの福和伸夫名誉教授は、来年春までに死者数を8割減らすなどとした国の「減災目
標」について「達成は難しい」との見方を示しつつも、津波による被害対策は進んでいる
と感じると話しました。
例えば、2021年4月時点で防災対策の「推進地域」に指定されている市町村で435基の
津波避難タワーが整備されています。
東日本大震災の教訓が「想定外をつくらない」だったことを思い返せば、実際に起こりそ
うなシナリオから優先的に備えることが現実的なのかもしれません。
[出典] 内閣府Webページ「南海トラフ地震対策」
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/
[出典] 内閣府Webページ「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/kento_wg/index.html
このように国を挙げた「さまざまな備え」によって、少しでも減災が進むと良いですね。
by Hirono
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(2)3月の地震活動及び火山活動について
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【地震活動】
全国で震度3以上を観測した地震の回数は12回で、このうち、最大震度4以上を観測し
た地震は4回でした。
日本及びその周辺におけるM4.0以上の地震の回数は89回でした。
【火山活動】
警報・予報事項に変更のあった火山は以下のとおりです(令和5年4月10日現在)。
諏訪之瀬島では、5日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から
3(入山規制)に引き上げました。
浅間山では、23日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに
留意)から2(火口周辺規制)に引き上げました。
気象庁 23.4.10 令和5年3月の地震活動及び火山活動について
https://www.jma.go.jp/jma/press/2304/10a/2303jishin.html
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(3)3月の地殻変動
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四国中部では、2019年春頃からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。
この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因す
るものと推定しています。
九州南部では、2023年初頭からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。
この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因する
ものと推定しています。
石川県能登地方では、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆
起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。
浅間山では、「東部」-「S浅間山1」等の基線で2023年3月頃からわずかな伸びが見ら
れます。
硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が
継続しています。
桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」等の基線で、
2023年1月頃からわずかな伸びが見られます。桜島島内の「桜島」-「鹿児島2」等の
基線で、2023年1月頃からわずかな伸びが見られます。
薩摩硫黄島では、「鹿児島三島」で2023年1月頃から西向きのわずかな変動が見られます。
国土地理院 23.4.10 令和5年3月の地殻変動
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2023-goudou0410.html
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第1位 3月27日 宮城県沖で最大震度4の地震
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第2位 3月28日 青森県東方沖で最大震度4の地震
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第3位 3月24日 茨城県北部で最大震度4の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/619188280250522/
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