Webマガジン 第219号  

⇒2022年11月15日・第218号      ⇒2022年10月15日・第217号      ⇒最新 一覧

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
<WebマガジンSignalNow> 2022年12月15日・第219号
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

――――――――――――― SignalNow 公式SNS ――――――――――――――

Facebook  https://www.facebook.com/SignalNow/
Twitter  https://twitter.com/SignalNowEEW/

■■□――――――――――――― INDEX ――――――――――――――□■■

(1)命を守る防災コラム 第165回
   「異常震域」について
(2)11月の地震活動及び火山活動について
(3)11月の地殻変動

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(1)命を守る防災コラム 第165回
   「異常震域」について
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

先月、三重県南東沖で深発地震が発生し、これが「異常震域」とされました。

震源の深さは約350km、地震の規模はマグニチュード(M)6.1と推定され、震源よりも少
し離れた関東や東北南部で「震度4、震度3」が観測された地震です。

このようなケースはそれほど多くないため、「異常震域」という言葉もあわせて、聞き覚
えのない方も多かったのではないでしょうか。

筆者も耳馴染みなく感じましたので、今号は、この「異常震域について」です。

1.「異常震域」とは

地震の揺れは一般的に、震源に近いほど大きく、遠くになるにつれて弱くなっていきます。

そのため一般的な地震では、震央から同心円状に揺れの強い地域が分布します。

これに対して、地下の深い場所で発生する「深発地震」では、震源に近い場所よりも少し
離れた場所の方が大きく揺れることがあり、その場合大きく分布が異なってきます。

地震が発生した「震源地」では揺れが小さい地震でも「安心できる」わけではなく、震源
から離れた場所に「大きな揺れ」が伝わることもあるため、注意が必要となります。

そのようなことが起きるのは、深発地震では震源に近い真上(マントルの上部)では岩石
の組成の違いなどから地震の揺れが減衰しやすい一方、少し離れた場所には「地震波が減
衰しにくい海洋プレートを通る」などして、揺れが減衰しにくい場合があるためです。

先月の「三重県南東沖の深発地震」では、地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿っ
て、北日本や東日本の太平洋沿岸に揺れが伝播したと考えられます。

2.過去の事例について

異常震域となったケースは例えば、オホーツク海南部の地震(深さ431km、M5.7、2011年
12月10日)や京都府沖の地震(深さ374km、M6.7、2007年7月16日)、小笠原西方沖の
地震(深さ682km、M6.7、2015年5月30日)といったものがあります。

日本列島から離れた「オホーツク海」南部の地震でありながら、太平洋側の北海道と東北
地方のみで「震度1以上」を観測しました。

また、京都府の北端(日本海沖)の地震であったにもかかわらず、「最大震度4」を北海
道の浦幌町で観測したほか、(日本海側でなく)太平洋側の北海道から関東地方にかけて
「震度3以上」を観測しました。

そして小笠原西方沖の地下深く、682kmでM8.1の大地震が発生して、震源に近い小笠原
諸島で「震度5強」を、伊豆諸島青ヶ島では「震度4」を観測しました。

ところが、1000km近く離れた神奈川県でも「震度5強」を観測し、埼玉県でも「震度5
弱」を観測したのです。

結局この地震では、47都道府県のすべてに「震度1以上」の揺れが伝わりました。

3.深発地震の特徴について

オホーツク海や日本海、三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは「深発地震」
が発生することがままあるとされます。

異常震域をもたらす地震は、地下「数十キロ」ではなく、「数百キロ」ほども深いプレー
ト内部やさらに深い場所が破壊されて発生します。

深発地震による「異常震域」で関係してくるのが「地震の揺れの伝わりやすさ」の違いです。

プレート内部で発生する地震では、地震の揺れが減衰しにくい巨大プレートを通して伝わっ
ていくため、震源から離れていても大きな揺れが生じます。

これに対して、プレートから離れていく上方向には「地震波が減衰しやすい岩石の組成」
などから、地下深くから地表に届くまでの間に揺れが弱まっていきます。

こうして、震源地よりも遠隔地の方が揺れが大きいという逆転現象が起きるのです。

数年に一度程度、M6以上の規模の「深発地震」が発生していて、一般的に震源が100km
より深い地震では津波の可能性は小さく、深発地震ではほとんど津波の心配はないとされ
ます。

そして、深発地震では「余震がほとんどない」ことも特徴とされます。

ちなみに、南海トラフ巨大地震が心配されるのは「フィリピン海プレート」で、日本付近
で生じる異常震域は「太平洋プレート」で起きている深発地震です。

[出典]気象庁、地震調査研究推進本部ほかのWebサイトより
(一例)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq27.html#nheader

プレート同士がぶつかってずれ動く「プレート境界の地震」、プレートで押されることで
歪みがたまって発生する「活断層の地震」など、日本には多様な地震が発生しますので、
これらの違いを理解して日頃から備えることが肝心ですね。

次号もお楽しみに!

by Hirono

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(2)11月の地震活動及び火山活動について
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

●地震活動
11月9日17時40分の茨城県南部の地震(M4.9)により最大震度5強を観測しました。
この地震により、負傷者1人の被害がありました。

全国で震度3以上を観測した地震の回数は20回で、このうち最大震度4以上を観測した
地震は3回でした。

日本及びその周辺におけるM4.0以上の地震の回数は99回でした。

●火山活動
警報・予報事項に変更のあった火山はありません(2022年12月8日現在)。

気象庁 22.12.8 令和4年11月の地震活動及び火山活動について
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2022-goudou1208.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(3)11月の地殻変動
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。こ
の変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するも
のと推定しています。

石川県能登地方では、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆
起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。

2022年2月頃から沖縄本島北西沖で発生している地震活動とほぼ同期して、久米島の
「具志川」で、南南東方向に小さな地殻変動が観測されていましたが、2022年11月頃か
ら停滞しています。

硫黄島の受信機名、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」では隆起が、「硫黄島2」で南向きの
変動が継続しています。

西之島では、火砕丘周辺及び西側に非干渉領域が見られます。

薩摩硫黄島では、「鹿児島三島」で2022年8月頃から西向きの僅かな変動が見られます。

国土地理院 22.11.8 令和4年11月の地殻変動
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2022-goudou1109.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
■□■□■□■□■ ~最近のFacebook「いいね!」トップ3~ ■□■□■□■□■
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

第1位 11月14日 三重県南東沖を震源とする最大震度4の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/524619036374114/
第2位 11月9日 茨城県南部を震源とする最大震度5強の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/521005053402179/
第3位 11月17日 千葉県北西部を震源とする最大震度3の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/527152932787391/

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。
♪見守りケロタンからのお知らせ♪
・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

◆SignalNow X (無償版) ダウンロードサービス実施中!!
http://www.estrat.co.jp/signalnowx.html
https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/signalnowx/

----------------------------------━━━━★

◆新津波電文対応SignalNow Lite、販売中!!
気象庁の新津波電文に対応し、津波警報・注意報も通報することができます。
「高度利用者向け緊急地震速報(予報)」を利用した通報システムです。
http://www.estrat.co.jp/snlite.html

・~・・~・~・~・~・~・~・~・発行元・~・~・~・~・~~・~・~・~・

ストラテジー株式会社
〒182-0023 東京都調布市染地2-14-50
SignalNowシリーズの開発・配信事業を行っています。
緊急地震速報 地震動の予報業務の許可事業者 許可第198号
http://www.estrat.co.jp/

・~・・~・~・~・~・~・~・~・編 集・~・~・~・~・~~・~・~・~・

株式会社小林洋行コミュニケーションズ SignalNowデスク
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-7
https://kobayashiyoko-com.jp/sn/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright 2022 Strategy Corporation.

ページのトップへ戻る