Webマガジン 第203号  

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<WebマガジンSignalNow> 2021年8月15日・第203号
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(1)2分で読める防災コラム 第149回
   大地震の前震活動研究について
(2)7月の地震活動
(3)7月の地殻変動

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(1)2分で読める防災コラム 第149回
   大地震の前震活動研究について
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防災科学技術研究所は、大型振動台を活用したメートル規模の岩石摩擦実験を行い、大地
震発生前に観測される前震活動の特徴を解明したと発表しました。

この共同研究チームの成果は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載
されました。

1.研究の概要について

これまで「地震の始まり方」に関する研究は世界中で進められていて、現在は「プレスリッ
プ型」と「カスケードアップ型」の2つの有力なモデルが提唱されています。

「プレスリップ型」は、断層の一部で始まったゆっくりとしたすべり(いわゆるプレスリッ
プ)が加速しつつ、断層全体に広がって本震に至るというモデルです。

「カスケードアップ型」は、小さな地震がより大きな地震を次々と誘発して本震に至ると
いうモデルです。

この2種類のモデルで示される「地震の始まり」を、防災科研つくば本所の大型振動台を
活用したメートル規模の模擬断層面の状態を制御した岩石実験によって、それぞれ再現す
ることに成功しました。

さらに、各条件における前震活動の詳細な比較を可能にし、2つのモデルで発生する前震
活動のパターンが大きく異なることも明らかにしました。

2.実験方法と研究成果について

研究チームは、メートル規模の岩石試料2本(上側1.5m長、下側2.0m長)を上下に積み
重ね、下側の試料を振動台上に固定する一方、上側の試料は振動台外側に設置したバーに
よって動かないよう固定し、振動台を一定速度で移動させることで試料間を相対変位させ
ました。

この時、試料間はスムーズにはすべらずに、「固着すべり」と呼ばれる固着と高速のすべり
を繰り返す現象を引き起こしました。

この「固着すべり」は、自然の断層で地震が繰り返し発生するメカニズムと同等と考えら
れています。

研究チームは、岩石試料の接触面を模擬断層面、高速のすべりを本震と見なして解析を行
いました。

その結果、模擬断層面を比較的均質にした状態では、「プレスリップ型の始まり」が再現さ
れることを確認できました。

一方、模擬断層面上に1つ前の実験で不均質に生じた摩耗物をそのままの状態に配置して
実験を開始することで、自然の環境に近い不均質性を設定し、「カスケードアップ型の始ま
り」を再現することに成功しました。

これらの結果により、地震の始まり方には断層面の均質性が大きく関わっていることが具
体的に示されました。

また、各種条件による実験において「前震」が多数観測され、模擬断層面の状態によって、
地震の規模の相対的な発生割合を示す「b値」と呼ばれる統計量が有意に異なることが示さ
れました。

「b値」は、地震の規模(マグニチュード)と発生頻度の関係から決まる統計量で、規模別
頻度分布図の傾きに相当します。

一般に、地震は小さなものほど数多く発生する傾向にあり、小さな地震の発生頻度が相対
的に高いほど「b値」は大きくなります。

「カスケードアップ型」においては、前震活動を詳細に調査した際に、その活動パターン
から「本震の発生時期を予測できる」可能性が示されました。

実際の自然断層は、本実験で設定した両極端な均質・不均質のどちらかではなく両方者の
特性を含んでいて、均質性の度合いによって「プレスリップ型」もしくは「カスケードア
ップ型」どちらかの特性が強く出ているものと考えられるとのことです。

3.今後の比較研究について

今後、兵庫耐震工学研究センター等において、さらに大規模での岩石摩擦実験を行い、実
験結果を比較しながら、地震発生メカニズムの解明に向けた研究を進めていくこととして
います。

また、自然地震活動の解析結果との比較研究も推進することで、日常的な微小地震活動か
ら「断層の均質性を診断する」ことが可能になれば大地震が「いつ、どのように始まるか」
をより的確に推定できる可能性があるとのことです。

地震発生の物理モデルが高度化され、各断層における「地震の始まり」の時期及び形態を
より的確に推定できるようになる可能性があり、地震発生の予測精度向上につながると期
待されます。

[出典] 防災科学技術研究所 Webサイト
https://www.bosai.go.jp/info/press/2021/20210721.html

本地震が発生する前に「前震活動」が観測できれば、防災・減災に大きく役立ちそうですね。

4.防災の日について

9月1日は「防災の日」です。

年に1回、自宅での備蓄、防災用品等のチェックをしておくと「備えあれば憂いなし」で
すね。

防災対策としての「自宅での備蓄」について確認されたい場合には、次の記事をご参照く
ださい。

第4回 自宅に備蓄しておきたい物資を考える
https://www.kobayashiyoko-com.jp/sn/info_mail56.html

第5回 オリジナルの避難袋に入れておきたいものを考える<Part1>
https://www.kobayashiyoko-com.jp/sn/info_mail57.html

第6回 オリジナルの避難袋に入れておきたいものを考える<Part2>
https://www.kobayashiyoko-com.jp/sn/info_mail58.html

第7回 最新の「備蓄」情報まとめ
https://www.kobayashiyoko-com.jp/sn/info_mail59.html

<補足情報>

◇東京海上日動「防災グッズ・防災用品」
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/world/egao/sonae/goods/

◇モンベル「暮らしの中の防災 ~アウトドアの知識をいかす~」
https://www.montbell.jp/generalpage/disp.php?id=212#pagetop

次号もお楽しみに!

by Hirono

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(2)7月の地震活動について
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全国で震度3以上を観測した地震の回数は15回で、このうち、最大震度4以上を観測した
地震は5回でした。

日本及びその周辺におけるM4.0以上の地震の回数は99回でした。

気象庁 21.8.10
http://www.jma.go.jp/jma/press/2108/10a/2107jishin.html

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(3)7月の地殻変動
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東北地方を中心に、2011年東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。

2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地
殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境
界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。

2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。この変
動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと
推定しています。

2020年夏頃から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近
は鈍化しているように見えます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長
期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。

2020年12月頃から2021年7月にかけて、石川県能登地方の地震活動(最大地震6月26日
M4.1)と同時期に、「能都」で南南西方向に1cm程度の変動が、「珠洲」で2cm程度の隆起
が見られるなど、能登半島で地殻変動が観測されました。

硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が
継続しています。

薩摩硫黄島では「鹿児島三島」で2021年6月頃からわずかな西向きの変動が見られます。

国土地理院 21.8.10
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2021-goudou0810.html

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第1位 7月17日 伊予灘で最大震度4の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4454971077868874/
第2位 7月29日 アリューシャンで大きな地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4489646327734682/
第3位 7月18日 徳島県北部で最大震度3の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4457106377655344/

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