メールマガジン 第173号  

⇒2019年1月15日・第172号      ⇒2018年12月11日・第171号      ⇒最新 一覧

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
<メールマガジンSignalNow> 2019年2月15日・第173号
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

――――――――― SignalNow 公式SNS ―――――――――――

Facebook  https://www.facebook.com/SignalNow/
Twitter  https://twitter.com/SignalNowEEW/

■■□――――――――― INDEX ――――――――――□■■

(1)2分で読める防災コラム 第119回
AIによる地震研究の今
(2)日本列島直下に沈み込むプレート内の水の挙動がスロー地震発生に関係
(3)地震発生確率のランク分け
(4)1月の地震活動及び火山活動
(5)1月の地殻変動

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(1)2分で読める防災コラム 第119回
AIによる地震研究の今
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

これまでもAI(人工知能)を活用した研究については、当防災コラム
「第92回 AIによる地震予測研究について」「第93回 最新の電脳
防災について」「第96回 AIによる火山活動予測について」などで取
り上げてきました。

今号では、2019年2月時点の最新研究をご紹介します。

1.海洋研究開発機構の「AIによる地震研究」について

海洋研究開発機構は、AIの得意分野である「画像データの深層学習」
を活用し、離れた場所で同時に地震が起きた場合に、複数箇所ある震
源を推定できるシステムを開発しました。

これまでの計算方法では、同時に複数の地震が起きると、震源を正確
に特定するのが難しいとされてきました。

例えば2018年1月5日、ほぼ同時刻に茨城県沖と富山県西部で発生した
2つの「震度3」の地震を、1つの大地震と誤って処理し、関東地方や
福島県に「震度5強」の緊急地震速報が発出される誤報がありました。

2つの地域の地震計が、ほぼ同時に地震を観測し、気象庁のシステム
が発生した2つの地震を区別できず、1つの地震とみなして揺れの強さ
を計算したことによります。

これに対して、海洋研究開発機構の新システムでは、同時刻による複
数の地震発生に対し、99%以上の確率で、震源の個数を正しく認識でき
たとのことです。

地震を検知すると、各地の地震データ観測情報を地図上に重ねて表示
し、画像データの特徴から震源の場所を絞り込みます。

さらに、それらの画像データをもとに、震源かどうかを判定するとい
うものです。

この新システムの開発に当たって、「同時に発生する地震」は観測例
が少なく、AIの深層学習には足りないため、AI学習に使う画像データ
をコンピュータの大規模シミュレーションで生成しました。

過去の地震波の記録や地下の地質構造をベースに、関東地方で起こり
うる600通りの「同時発生地震」をシミュレーションし、2万枚の画像
データを生成して、AIによる学習を繰り返したとのことです。

海洋研究開発機構の坪井誠司 情報技術担当役は「将来(この新システ
ムを)緊急地震速報に使えば、精度を上げられるのではないか」と話
しています。

従来の地震研究では、実際の観測データから理論を組み立てられてき
ました。

これまでの手法は、観測した地震の理解は進むものの、発生頻度の低
い「大地震」「複数同時発生地震」などの研究が進みにくい面があり
ました。

それに対して、この新しい「シミュレーション手法」は、観測データ
不足を補え、例えば「まだ未発生の地震」に対しても、シミュレーシ
ョンで作ったデータをAIに学ばせ、地震の規模や被害の推定など様々
な計算をより高精度にできる可能性が出てきました。

坪井 情報技術担当役は「発生頻度が低く、観測データが少ない大規模
地震に対しても、解析を進められ、大規模地震発生メカニズムの解明
が加速できる」としています。

2.防災科学技術研究所の「地震の震度分布を推定する研究」について

防災科学技術研究所には、全国の地震観測情報がリアルタイムで集まっ
てきます。

防災科学技術研究所では、1997~15年に起きた2000回以上の地震につ
いて、規模や震源の深さなどと各地の震度の広がりの関係をAIに学習
させました。

従来理論の公式では「震度の広がりは、震源からの距離で決まる」と
いう前提でできています。

これに対して、今回試作したAIによって、実際の観測データを調べて
みると「震源の深さ」が大きく影響することがわかりました。

防災科学技術研究所の久保久彦 特別研究員は、「震度分布の正確な計
算はまだ難しいが、より現実に近い理論を構築できる可能性がある」
としています。

3.東京大学の揺れ方の詳細な予測実現について

東京大学の市村強 教授らは、地下街や建物の揺れ方の詳細な推定にAI
を活用しました。

これまでは、都市のビルや地下街の揺れ方について、長大で難解な方
程式を計算する必要があり、長い時間を要していました。

これに対して、AIを活用することで「難解部分の検出」を可能にし、
優先的に計算することで、これまでの4倍の速さで解析できるように
なったとのことです。

結果の正確性に対しても、AIのパターン認識によって、数値化できる
ようになりました。

このシステムで、地盤まで考慮した東京駅周辺のビルや地下街の揺れ
方について、実に詳細な予測を実現できたとのことです。

市村教授は「AIの利用は、地震解析の新たな選択肢になり、予測結果
を防災に生かしやすくなる」と話しています。

今後AIの活用によって、地震学の理論が修正されるということも起き
るかもしれません。

政府が2012年にまとめた「南海トラフ巨大地震」の被害想定では、死
者が最大32万人とされ、大地震での減災への工夫は欠かせません。

文部科学省の科学技術・学術審議会も「災害の軽減につながる研究を
推進」するとしています。

このような、新しいAIを活用した研究が進めば、防災・減災をより高
精度にしていくのに役立つと期待されますね。
次号もお楽しみに!

by Hirono

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(2)日本列島直下に沈み込むプレート内の水の挙動がスロー地震発生に関係
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

産業技術総合研究所、広島大学、海洋研究開発機構は、日本列島直下に
沈み込むフィリピン海プレート内に作用する力を解析した結果、深さ約
30~70kmの位置にあるフィリピン海プレート内に作用する力の向きに場
所によってばらつきがあることから、沈み込むプレート内部の水の流れ
やすさに空間的な違いがあることを見い出しました。

プレート内部の水の流れやすさは、沈み込むプレ-トから放出される水
の量とプレート境界付近での水の溜まり方に大きく影響し、この付近で
の地震の起こりやすさにも影響すると考えられます。

プレート境界付近に大量の水が存在すると、地下の岩石の破壊に達する
までの摩擦が大きく下がり、数多くの微小な亀裂の連鎖的な破壊、いわ
ゆる、ゆっくり地震(スロー地震)を発生させる可能性があります。

そこで、南海トラフにおけるスロー地震の分布と本研究で明らかにした
水の流れやすさの分布の比較から、南海トラフでプレート境界に供給さ
れる水の量の違いがスロー地震発生に関係することが分かりました。

産総研 19.1.25
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190130/pr20190130.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(3)地震発生確率のランク分け
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

日本では、地震がたびたび発生し、多くの震災がもたらされています。

それでも、特定の地域で大地震が発生するのは100年とか数千年に1回
くらいのため、台風の襲来などの毎年発生する気象現象に比べて相対的
に頻度は低いと言えます。

特に、活断層で発生する地震の発生確率は、地震の専門家でない人には、
低く感じられるおそれがあることが2016年の熊本地震後に改めて指摘さ
れました。

そこで、地震調査委員会の活断層の長期評価では、地震発生確率と地震
後経過率とを組み合わせた「ランク分け」が導入され、ランクを記号と
色で表記することになりました。

そなえる防災 19.1.31
https://www.nhk.or.jp/sonae/column/20190101.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(4)1月の地震活動及び火山活動
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

■地震活動
1月3日の熊本県熊本地方の地震(M5.1)により、最大震度6弱を観測
し、重傷1人などの被害がありました。

また、この地震の震源付近では、1月26日のM4.3の地震により最大震度
5弱を観測しました。

これらの地震は、平成28年熊本地震の活動域とは、約20㎞離れたとこ
ろで発生しました。

全国で震度3以上を観測した地震の回数は10回、このうち、最大震度4
以上を観測した地震は6回でした。

日本及びその周辺におけるM4.0 以上の地震の回数は76回でした。

■火山活動
霧島山(新燃岳)では、新燃岳火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候が認
められなくなったため、18日に噴火予報を発表し、噴火警戒レベルを2
(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げました。

その他の火山については、警報・予報事項に変更はありません。

気象庁 19.2.8
http://www.jma.go.jp/jma/press/1902/08a/1901jishin.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(5)1月の地殻変動
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

1月8日に発生した種子島近海の地震(M6.0、最大震度4)に伴い、「西
之表」(鹿児島県西之表市)で南東方向に約2cm移動するなどの地殻変
動が観測されました。

吾妻山周辺では、2018年5月頃から山体の膨張を示す地殻変動が見られ
ています。

硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」では隆起、「硫黄島2」は
南向きの変動が継続しています。

霧島山周辺では、霧島山を挟む基線で2018年9月頃から伸びの傾向が鈍
化しています。

桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む基線での伸びは停滞しています。

桜島島内は2018年3月頃から伸びの傾向が鈍化していましたが、5月頃
から停滞しています。

口永良部島では、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、新岳周
辺で1月17日の噴火に伴う火砕物の堆積とみられる非干渉領域が見られ
ます。

国土地理院 19.2.8
http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2019-goudou0208.html

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
□■■ ~最近のFacebook「いいね!」トップ3~ ■■□
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
第1位 地震発生せず津波の可能性 徳島・海陽沖に海底地滑り跡
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/2270316943000976/
第2位 「ノーマーク火口」全国21の火山に 富士山も監視強化
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/2306639942702009/
第3位 今、東京と大阪の活断層が動いたら!?
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/2271627116203292/

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。
♪見守りケロタンからのお知らせ♪
・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。
◆SignalNow X (無償版) ダウンロードサービス実施中!!
http://www.estrat.co.jp/signalnowx.html
---------------------------━━━━★
◆“SignalNow mobile for Android”販売中!
Android(TM)搭載のスマートフォン向けに開発した高度利用者向け
緊急地震速報アプリです。気象庁の新津波電文に対応し、津波警報・
注意報も通報することができます。
■Google Play Storeからダウンロードできます。
https://goo.gl/8jQz6L
---------------------------━━━━★
◆SignalNow ProfessionalのDVD版はAmazonから購入いただけます!
1年版 通常9,800円のところ、期間限定1,296円で販売中です!
DVD版のお求めはこちらから
http://amzn.to/1b8BhyZ
---------------------------━━━━★
◆新津波電文対応SignalNow Lite、販売中!!
気象庁の新津波電文に対応し、津波警報・注意報も通報することが
できます。「高度利用者向け緊急地震速報(予報)」を利用した通報
システムです。
http://www.estrat.co.jp/snlite.html
・~・~・~・~・~・~・~・発行元・~・~・~・~・~・~・
ストラテジー株式会社
〒182-0023 東京都調布市染地2-14-50
SignalNowシリーズの開発・配信事業を行っています。
緊急地震速報 地震動の予報業務の許可事業者 許可第198号
http://www.estrat.co.jp/
・~・~・~・~・~・~・~・編 集・~・~・~・~・~・~・
株式会社小林洋行コミュニケーションズ SignalNowデスク
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-15-7
https://kobayashiyoko-com.jp/sn/
・~・~・~・メールマガジンの配信停止・配信先の変更・~・~・
次のアドレスからお手続きをお願いします。
https://www.kobayashiyoko-com.jp/sn/maga/form.php
※配信停止・配信先の変更は、配信リストの更新に数日かかるため、
配信停止後も数回配信されてしまうことがあります。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
このメルマガは、SignalNow シリーズをご利用いただき、メルマガ
送信に同意された皆様にお送りしております。
このメルマガは、等幅フォントで最適にご覧いただけます。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
このメールは送信専用アドレスにてお送りしています。
ご返送いただいても、対応いたしかねますのでご了承ください。
━━━━━━━━━━━━━Copyright 2018 Strategy Corporation.

ページのトップへ戻る